福岡アジア美術館で開催されている
スタジオジブリ・レイアウト展が明日の日曜26日までです。
Gではない
このレイアウト展、誤解?されている人もいるかもしれませんが
とても技術的な展示会なのです。
「うわーキレーな絵」
「このシーン覚えている~懐かしい~」
「ハク様かっこいい~」
とキャッキャウフフと見るものではないのです。
(まあ、95%の人はそういう気分で見に来た人でしょうが)
ジブリの秘蔵のレイアウト技術が学べる場なのです。
福岡に住んでいるデザイン系のクリエイターの方は必見でしょう。
ということで、
私が去年12月に見に行ったときに書いたレポートの一部を
以下、このブログに晒しときます。
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2時間で半分しか見れていない。まだ、もののけ姫。時間が足りない。
とにかくボリュームが多い。
アニメの「レイアウト」というのはアニメ作成工程のひとつ、
レイアウト作業で作成する資料になる。
レイアウト作業は絵コンテ作業と美術(背景)・作画作業の間に入る。
レイアウト作業は古くは「場面設定」とか「画面構成」とも呼ばれる。
絵コンテはアニメ全体の設計図で、レイアウトはシーン毎の設計図になる。
そのレイアウトの展示会。
単なる絵の展示会ではない、実は技術的な展示会である。
レイアウトシステムを創ったのが現ジブリの高畑勲氏と宮﨑駿氏。
レイアウトを作画監督が一貫して作成することで
アニメの作画クオリティを保てる。
また、美術担当と作画担当をパラで作業を進めさせることができる。
この思想から生まれたレイアウトシステム。
レイアウトは実際のアニメのワンシーンを
鉛筆と色鉛筆で書いたようなものになる。
(もちろん作業的にはレイアウトが先に作られるが)
その絵の中には撮影時の指定など専門的な文字が書かれる。
「BG」背景そのもの。
「Book」背景の上に載せる背景。雲とか。
「Follow」動かす時間と方向。指定「1K/0.15」は1コマ0.15秒で動かす。
アニメは1秒間24コマで動く。
その他「セル」「マルチ」とかいろいろ。(忘れた)
このFollowの指定がなかなか興味深い。
例えば雲が複数書かれているシーン、
雲それぞれにBookA、BookB、BookCとふられて
Follow
BookA 1K/0.15
BookB 1K/1.5
BookC 1K/0.5
とかそれぞれ早さが指定されている。
ラピュタのOPあたりを思い浮かべるといい。
(このあたり、プログラムの変数と似ているとか勝手に思ったり)
また、レイアウトで書かれた背景などは
「鉄筆」と呼ばれる紙をくぼませるだけのペンを使って
レイアウトの下に紙を置いてなぞってトレースして美術や作画で使う。
なので、窪んでいるレイアウトが多数ある。
宮﨑駿氏は「アルプスの少女ハイジ」あたりで
レイアウト手法を確立した。
展示会にはその駿氏のレイアウトも多数展示。
このレイアウト展の大量のレイアウト、それぞれ誰が書いたかは書かれていない。
監督がすべて書いているわけでもないはず。
作画監督が多数書いているのか。
そのジブリの作画監督で目立つのは故・近藤喜文氏か。
「美術さま、XXXでおねがいします」と書かれたレイアウトが多数ある。
この独特の文章は誰が書いたものなのかな。
以下、私が感じたこと。
アニメの作業工程もITシステム設計工程に似ている。
ISO的工程と比べると
絵コンテ=機能設計(FD)
レイアウト=詳細設計(DD)
作画=コーディング(MK)
のような形か。
絵や演出・シナリオが素晴らしいというだけではなく
アニメ製作を効率的に行うレイアウトシステムを創った宮崎駿氏はやはり偉人と思う。
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